プロトコルコンバータ GW EIP/MODBUS の Ethernet/IP ⇔ Modbus/TCP 間の通信設定方法

プロトコルコンバータ GW EIP/MODBUS は、さまざまな EtherNet/IP ベースのコントローラーから様々な Modbus® マスターおよび/またはスレーブへの強化された接続を提供します。Modbusマスター間の接続、Modbusスレーブ間の接続、およびModbus シリアル ネットワークから EtherNet/IP および Modbus TCP ネットワークへの接続をサポートします。

ここでは、プロトコルコンバータ GW EIP/MODBUS について、Ethernet_IP ⇔ ModbusTCP 間の通信設定方法について説明します。なお、プロトコルコンバータ GW EIP/MODBUS がサポートしている EtherNet/IP対応のコントローラは、次の通りです。

  • Rockwell: ControlLogix®、CompactLogix®、SoftLogix、FlexLogic、SLC、PLC-5®、および MicroLogix PLC
  • オムロン: NJ および一部の CJ シリーズ
  • Schneider Electric: Modicon シリーズ, LMC058
  • パナソニック: FP7
  • 三菱: Qシリーズ
  • AutomationDirect: Productivity 1000、2000、3000、Do-more H2-DM1E
  • B&R: X20 システム
  • CodeSys: ソフト PLC
  • 通信接続方法
図1. プロトコルコンバータ

通信接続方法

プロトコルコンバータの各通信プロトコルの対応を、以下の一覧表にまとめています。この中で、Ethernet/IP ⇔ Modbus/TCP 間の通信は、双方向で共有メモリ(Shared memory)を使用します。

図2. 通信プロトコル間接続一覧表( EIP ⇔ Motbus/TCP 間接続 )

通信設定方法

Ethernet_IP ⇔ ModbusTCP 間の通信設定は、次の手順で行います。

①ログイン、WBMホームページ

②デバイス情報、IPアドレス設定、Ethernet/IP 設定

③Modbus/TCP 設定

④データマッピング設定(Shared Memory)

①ログイン、WBMホームページ

まず、GW EIP/MODBUS の各種パラメータを設定するために、本体にログインします。

  • GW EIP/MODBUS は、一般的なブラウザを利用したWebベース管理画面 (WBM: Web based management)を提供しています。ここで、デバイスに関する、様々な設定や、詳細な診断情報を表示します。
  • ブラウザから GW EIP/MODBUS の IPアドレスを入力し、ログイン画面からログインパラメータを入力してログインします。
    • ネットワーク設定: デフォルトの IPアドレス:192.168.254.254、 サブネットマスク:255.255.255.0
    • ログインパラメータ: デフォルトのユーザ名:Admin、 パスワード:admin(大文字、小文字に注意)
図3. ログイン画面
  • ログイン後に、WBMのホームページが表示されます。
  • ホームページから、基本設定画面や詳細設定画面に遷移してパラメータを構成します。
  • 各種設定画面からホームページに遷移するときは、画面左上の 「⌂」 マークをクリックします。
図4. ホームページ画面

②デバイス情報、IPアドレス設定、Ethernet/IP 設定

次に、デバイス情報、IPアドレス、Ethernet/IP 設定をします。

  • デバイスの情報設定を設定します。
    • 「General Setting」 タブをクリックします。
  • 設定情報は、次の通りです。
    • Device Name:デバイス名(半角英数字で16文字まで)
    • Contact:担当者、担当グループ名(半角英数字で16文字まで)
  • 設定情報を保存するために、「Apply Changes」 ボタンをクリックします。
図5. デバイス設定情報入力画面
  • IPアドレスを設定します。
    • 「LAN Setting」 タブをクリックします。
  • 設定情報は、次の通りです。
    • DHCP サーバで IPアドレス設定の場合は、「Automatic address assignment (DHCP)」 を選択します。
    • 固定 IPアドレスの場合は、 「Manual address assignment」 を選択し、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを入力します 。
  • 設定情報を保存するために、「Apply Changes」 ボタンをクリックします。
図6. IPアドレス設定画面
  • Ethernet/IP の設定をします。
    • 「Ethernet/IP Stack」 タブをクリックします。
  • デフォルトの設定は、ほとんどのシステムで推奨される値が設定されており、特殊要求がある場合に専任のエンジニアで実施して下さい。
図7. Ethernet/IP 設定画面

③Modbus/TCP 設定

次に、Modbus/TCP の設定を行います。

  • Modbus 設定画面に遷移します。
    • 「Modbus Settings」 タブをクリックします。
  • 「Overview」 ページが表示され、Modbusの各設定の概要説明を示しています。
図8. Modbus 設定画面
  • Modbus/TCP 設定画面に遷移します。
    • 「Modbus TCP Configurations」 タブをクリックします。
  • この画面では、Modbus/TCP 通信で使用するポートを設定します。
    • デフォルトの TCP ポートは、「502」 です。
    • 追加のポートが必要であれば、ポート番号を入力し、「Enabled」 の欄のチェックボックスにチェックを入れます。
    • 「Modbus Exception Responses」 は、デバイスがModbus gateway としての機能をもっており、例外コード(Exception Code)の取り扱いを選択します。
図9. Modbus/TCP 設定画面

④データマッピング設定(Shared Memory)

さらに、共有メモリ(Shared memory)のデータマッピングをします。

  • データマッピング設定では、Modbus と EtherNet/IP 間の通信を構成します。
  • ここでは、Class 1通信であるサイクリック通信の設定について説明します。
  • Shared Memory 設定画面に遷移します。
    • 「Modbus Settings」 タブとその中の、「Shared Memory」 タブをクリックします。
図10. Shared Memory 設定画面
  • Shared Memory 機能概要
    • 共有メモリは、EtherNet/IP コントローラ、Modbus マスター、および Modbus スレーブ デバイス間で通信するための簡単に設定でき、堅牢な方法を提供します。
    • GW EIP/MODBUS… は Modbus スレーブをエミュレートし、各 EtherNet/IP コントローラまたは Modbus マスターは「共有」メモリを読み書きしてデータを交換できます。
    • 「共有メモリ」ページは、200 個の Holding Register のブロックが 8 つと、320 個の Coil のブロックが 8 つから構成されています。
    • Holding Register と Coil には、書き込みアクセスが可能です。
    • 各ブロックは、すべてのマスターに書き込みアクセスを提供するか、特定のマスターのアクセスを制限するように構成できます。
    • 共有メモリの内容は、GW EIP/MODBUS… Web サーバー経由で表示、消去ができます。
    • 各ブロックの診断データは、読み取り、書き込み、およびブロックされた書き込みメッセージ数が表示されます。
    • ブロックされた書き込みメッセージは、「書き込み違反」 ログ ファイルに記録されます。
表1. データマッピング設定一覧表
  • •Shared Memory 設定画面で、「Display」 ボタンをクリックすると、共有メモリのデータ表示画面に遷移します。
図11. Shared Memory データ表示画面(ホールディングレジスタ)
図12. Shared Memory データ表示画面(コイル)

PLCの設定

最後に、PLC の設定を行います。

①EDSファイルのダウンロードと、PLCへのインストール

まず、プロトコルコンバータ GW EIP/MODBUS の EDSファイルを取得します。

  • 製品ホームページにアクセスして、EDSファイル(Zipファイル)をダウンロードします。
    • ダウンロード > 機器の説明
  • Zipファイルを解凍して、対象製品のEDSファイル(*.eds)を取り出します。
  • PLCの Ethernet/IP 設定ツールで、EDSファイルを読み込みます。
  • EDSファイルに設定されているアッセンブリは、101 Rx Data Blocks と、118 TX Data Blocks で、それぞれ SINT(Byte)で 440 Byte サイズの配列で定義します。
  • このうち、最初の 400 Byte(200 WORD)は Modbus のレジスタデータで、あとの 40 Byte(320 bit)は Modbus のコイルデータになります。
図13. EDSファイルの取得

②PLCの設定

PLC の各種設定を行います。

  • Modbus/TCP 側
    • IPアドレス: デバイスのIPアドレス
    • UID: 252(デフォルト、共有メモリ設定の Shared Memory Device ID)
  • Ethernet/IP 側
    • IPアドレス: デバイスのIPアドレス
    • 配列の 0~399 バイトが Modbus の Holding Register にアクセスし、400~439 バイトが Modbus の Coil にアクセス

まとめ

プロトコルコンバータ GW EIP/MODBUS について、共有メモリ(Shared memory)を使った EtherNet/IP ⇔ Modbus/TCP 間の通信設定について説明しました。EtherNet/IP と Modbus/TCP 間のプロトコル変換にご活用ください。

  • URLをコピーしました!