UPS(無停電電源装置)を使用した産業用PCの自動シャットダウンその2 キャパシタモジュール

産業用PCを使用する環境にUPS(無停電電源装置)を導入する際の主な目的が停電対策の場合はバッテリー、瞬停対策の場合はキャパシタを使用するというのが一般的な考え方となっているかと思います。
ただし、設備や装置の電源ブチ切りに対応する際に必要なWindowsのシャットダウン程度の処理であれば、キャパシタの使用も充分可能と言えます。
別記事「UPS(無停電電源装置)を使用した産業用PCの自動シャットダウン」をベースに、キャパシタモジュールを活用した構成や設定についてご紹介します。
キャパシタの主な利点:
- 長い寿命
- 高い安全性
- メンテナンスフリー
- 環境負荷の低減
- 温度範囲の広さ
通常のバッテリーの場合、性能維持のためには数年ごとにメンテナンス(バッテリーの交換)が必要です。
産業用の機器や設備に組み込んで使用する場合、その負担は非常に大きなものとなります。
キャパシタを使用する事でそのメンテナンスが不要になるのであれば、設備・機器ベンダーさんにとってもエンドユーザさんにとってもそのメリットは非常に大きいでしょう。
使用機材:
VL3 UPC – ボックス型PC – 1459506 | Phoenix Contact

QUINT4-PS/1AC/24DC/5 – 電源 – 2904600 | Phoenix Contact
QUINT4-CAP/24DC/5/4KJ – 容量モジュール – 2320539 | Phoenix Contact

標準的なUPSユニットとバッテリーは別体となっていますが、QUINT4-CAPはバッテリーモジュールの交換が不要なため一体となっています。UPS↔バッテリー間の配線も不要です。
設定用の専用ソフトウェア「POWER MANAGEMENT SUITE」の使用方法については別記事「UPS(無停電電源装置)を使用した産業用PCの自動シャットダウン」と概ね同様のため、本記事ではその差がある部分を中心に説明します。
ソフトウェアの準備
フエニックス・コンタクトのUPSを使ったWindowsのシャットダウンを行う場合、専用ソフトウェア
「POWER MANAGEMENT SUITE」
を使用します。
POWER MANAGEMENT SUITE – 設定ソフトウェア – 1252232 | Phoenix Contact
ソフトウェアのインストーラーは上記製品ページより無償でダウンロードが可能です。
UPSの設定
「QUINT4-CAP」に放電時間の設定やモードスイッチは無いので、この設定は不要です。
接続
QUINT4-CAP底面のUSBポートとPCのUSBポートをケーブルで接続します。
QUINT4-CAP側のポートはMini USBです。
フエニックス・コンタクトではMini USB端子側に固定用ネジの付いたUSBケーブルを用意しています。
MINI-SCREW-USB-DATACABLE – 通信用ケーブル – 2908217 | Phoenix Contact


ソフトウェアの設定
POWER MANAGEMENT SUITEの使用方法は、UPS+バッテリー使用時と概ね同様です。
ただし、QUINT4-CAPはUPSユニットとバッテリーが一体となっているためダッシュボードの表示に差があります。

今回使用しているQUINT4-CAP/24DC/5/4KJの電源容量は4KJ(キロジュール)です。
1J = 1Ws(ワット秒)ですので、本機の電力量は4KJ = 4000Wsとなります。
24Vの機器を使用する場合の使用可能な電流量は計算上166.7As(アンペア秒)となります。
今回使用した産業用ボックス型PC VL3 UPC の最大消費電流は2A程度ですのでシャットダウン用途であれば充分という想定でしたが、さらに容量の大きい
QUINT4-CAP/24DC/10/8KJ – 容量モジュール – 2320571 | Phoenix Contact
QUINT4-CAP/24DC/20/16KJ/USB – 容量モジュール – 1065635 | Phoenix Contact
という製品もございますので必要な場合はご検討下さい。
以上です。