産業用 4G/LTE ルータ EW50 の デュアル SIM フェイルオーバー機能
4G/LTE ルータ EW50 は、2つのマイクロ SIM カードスロット装備しています。
通常 EW50 が 4G/LTE 携帯電話網(インターネット)に接続するのは、1つの SIM カードによる 1 つの WAN インターフェイスはだけです。EW50 は、フェイルオーバー機能を備えており、2つのマイクロ SIM カードを装着している場合、SIM カードの利用状態、携帯電話網(インターネット)の通信状態 等 に応じて、もう 1つの SIM カードに自動的に切り替わる フェイルオーバー機能を搭載しています。
また、2つの有線ポート( RJ45ポート)のうち 1ポートを WAN 用として使用し、4G/LTE 携帯電話網(インターネット)に通信異常が発生した場合に、有線 WAN ポートを無瞬断のフェイルオーバー用バックアップ回線として使用することができます。
この記事では、EW50 の デュアル SIM のフェイルオーバー機能、有線 WAN ポートへのフェイルオーバー機能について説明します。
デュアル SIM モード
デュアル SIM の設定(Preferred SIM Card)には、次の 4つの設定があります。
- SIM-A First: デュアル SIM 構成の場合、SIM-A を優先して使用
- SIM-B First: デュアル SIM 構成の場合、SIM-B を優先して使用
- SIM-A Only: SIM-A のみ使用
- SIM-B Only: SIM-B のみ使用
また、デュアル SIM 構成の場合、「SIM-A First」または「SIM-B First」選択時に「Fallback」の有効(Enable)オプションを設定することで、片方の SIM 使用時にフェイルオーバーしてもう片方の SIM に使用が移った後に、前に使っていた SIM の通信が復旧したときに 前に使っていた SIM の方に戻る(Fallback)機能があります。
以下では、① SIM-A Only / SIM-B only、② SIM-A First / SIM-B First で Failback 無効、③ SIM-A First / SIM-B First で Failback 有効 の各設定について説明します。
① SIM-A Only / SIM-B only
「SIM-A Only」または「SIM-B Only」を選択した場合、EW50 と 携帯電話網(インターネット)間の通信に使用される SIM は、指定された SIM-A / SIM-B のいずれかのみになります。指定した SIM が該当するスロットに挿入されていない場合は、もう片方に SIM が挿入されていても通信できません。
② SIM-A First / SIM-B First で Failback 無効
「SIM-A First」または「SIM-B First」を選択(デフォルトは、「SIM-A First」選択)して Failback Enable にチェックしなかった(Fallback 無効の)場合、EW50 は最初に SIM-A または SIM-B カードを使用して携帯電話網(インターネット)に接続しようとします。
何らかの原因で、携帯電話網(インターネット)との接続が切断されると、EW50 は自動的にもう一方の SIM カードを代替として使用するように切り替えます。切り替えた SIM 接続も切断された場合、元の SIM カードを使用するように切り替えません。
③ SIM-A First / SIM-B First で Failback 有効
「SIM-A First」または「SIM-B First」を選択(デフォルトは、「SIM-A First」選択)して Failback Enable にチェックした(Failback 有効の)場合、EW50 は最初に SIM-A または SIM-B カードを使用して携帯電話網(インターネット)に接続しようとします。
何らかの原因で、携帯電話網(インターネット)との接続が切断されると、EW50 は自動的にもう一方の SIM カードを代替として使用するように切り替えます。そして、SIM-A の接続が回復すると、元の SIM-A カードを使用するように接続を切り替えます。
デュアル SIM のフェイルオーバー機能
何らかの原因で、携帯電話網(インターネット)との接続が切断された状態(フェイルオーバー)を検知する項目として、1. 通信切断、2. 受信強度、3. 通信ロス、4. ローミング時間 があります。
フェイルオーバーの設定は、次の通りです。
- Failed connection: 通信切断の回数が設定値に達すると、別のSIMカードに切り替わります。
- 通信切断回数の設定値: 0:デフォルト、1~10 で設定可能
- RSSI Monitor: 受信強度が設定値以下になると、別のSIMカードに切り替わります。Enable をチェックするとこの項目が有効になります。
- 受信強度の設定値: -90~-113 dBm
- Network Service: 通信が失われた時間が設定値に達すると、他の SIM カードに切り替わります。Enable をチェックするとこの項目が有効になります。
- 通信ロス時間の設定値: 1~30 分
- Roaming Service: ローミング サービスの時間が設定値に達すると、他の SIM カードに切り替わります。Enable をチェックするとこの項目が有効になります。
- ローミング時間の設定値: 1~30 分
有線 WAN ポートへのフェイルオーバー機能
次に、4G/LTE 携帯電話網(インターネット)に通信異常が発生した場合に、有線 WAN ポートにフェイルオーバーする機能について説明します。
図 5. は、WAN-1 が有線でインターネットに接続して通常使用し、WAN-2 は WAN-1 のバックアップ として 4G/LTE 携帯電話網(インターネット)に接続するように構成しています。有線接続の WAN-1 が切断されると、4G/LTE 携帯電話網(インターネット)にフェールオーバー機能で接続します。有線接続の WAN-1 が復旧すると、有線接続の WAN-1 に通信が引き継がれ、その時点で 4G/LTE 携帯電話網(インターネット)の WAN-2 は通信を終了します。
有線 WAN ポートへのフェイルオーバー機能を有効にするには、Internet Connection List の WAN-2 に「Ethernet」インターフェースを追加し、「Operation Mode」を「Failover」にすることで機能します。
まとめ
EW50 の異なる回線に接続する2枚のSIMカードを搭載できるデュアルSIM機能により、片方のSIMによる接続が不調でも、もう一枚のSIMでの通信に自動的に切り替えるフェールオーバー機能、有線 WAN ポートへのフェイルオーバー機能について説明しました。
携帯電話網のインターネットに通信異常が発生した場合の EW50 の通信を継続する手段として活用してください。