データコレクションボックスのご紹介

効率的なデータ取得は、製造プロセスの透明性の実現とCO2排出量の削減をめざして、製造をより持続可能で効率的にするために必須です。データコレクションボックスは、実行中の操作に影響したり中断したりすることなく、広範なエネルギーデータとプロセスデータを収集するのに効果的です。モジュール型でコンパクトな設計により、フエニックス・コンタクトのさまざまな製品を組み合わせて使用することで、アプリケーションを実装することができます。

ここでは、2050年までの「カーボンニュートラル」を目指し、その一環である「温室効果ガス排出量ゼロの達成」をめぐる背景、課題と、「データコレクションボックス」のコンセプトと基本構成、使用例について説明します。

図1. フエニックス・コンタクト 本社工場に設置された データコレクションボックス

目次

カーボンニュートラルをめぐる 「リスク」 と 「ソリューション」

カーボンニュートラルをめぐる状況と「リスク」

カーボンニュートラルは、温室効果ガス(主に二酸化炭素やメタン、窒素酸化物など)の排出量が実質ゼロである状態です。具体的には、温室効果ガスとして注目される CO₂ だけでなく、他の温室効果ガスも含めて排出量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ(ネットゼロ)を目指しています。これは、2050年までに脱炭素社会を実現するために、日本を含む多くの国や企業が取り組んでいる重要な目標です。

しかし、化石燃料の利用による CO2 コストの上昇、予測できないエネルギコストの価格変動が考えられます。また、欧州域内では、CSR指令(Corporate Sustainability Reporting Directive)が 2023年1月に発行され、会計年度2024年から報告の対象となっています。この指令は、ESG(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G))のサステナビリティ情報の開示を義務付けており、サステナビリティ情報の収集と開示体制を整え、報告書を作成し、定められた期限内に開示する必要があります。罰則規定は直接的には存在しないものの、適用企業にとっては法的要件を遵守することが重要です。この指令により、企業は環境と社会に対する取り組みを透明に報告し、持続可能なビジネス実践を促進することが期待されています。

図 1. ESGのサステナビリティ情報の開示義務の開始

フエニックス・コンタクトの「ソリューション」

カーボンニュートラルを目指し、CSR指令に基づいてサステナビリティ情報の収集をするために、温室効果ガスの排出量に関連するデータとして、電力エネルギ、水、ガス、石油、蒸気のユーティリティデータの計測のためのソリューションとして、「データコレクションボックス」をご提案します。

これは、フェニックス・コンタクトのさまざまな製品を組み合わせたコンパクトなデータ収集ボックスであり、以下の特徴があります。

  1. PLCnext のオープンエコシステムによる IIoT 技術
  2. クラウドとの容易なデータ連携
  3. サイバーセキュリティの国際規格 IEC 62443 に基づいた製造現場のネットワーク・セキュリティ適用
  4. カスタマイズ可能で「スケーラブル」な ハードウェア、ソフトウェア構成

データコレクションボックスの基本構成

データコレクションボックスの基本コンセプトは、次の通りです。

  • どんなデータタイプ でも素早く、簡単に データ収集
  • カスタマイズ可能 なソリューション
  • コンパクトで堅牢 なボックス設計

図 2. データコレクションボックス

データコレクションボックスは、主に以下の5つの製品群で構成しています。

  1. PLCnext Technology
  2. スマートエレメント I/O
  3. データ収集モジュール(EMpro
  4. コンパクトな耐候性の制御BOX(OCSシリーズ
  5. 豊富な実績のフエニックス製品群

PLCnext Technology

PLCnext Technology は、IT(Information Technology)とOT(Operating Technology)の連携に適したオープンプラットフォームです。
CPUユニットは、ARMシングルコアのエントリーモデルから、Intelデュアルコアのハイスペックモデルまで用意しており、ターゲットアプリケーションの要求仕様に合わせて選択が可能です。I/Oモジュール(Axioline F, Axioline SE)を取り付けることで、用途に合ったさまざまな I/O を追加できます。
Python・Node-RED・Dockerなどの最新の ITトレンド技術を活用することで、デジタル化への対応が可能で、センシングしたデータを分析、データベースへ保存、クラウドへ送信などのIT連携が可能となります。また、オープンソースなど利用可能なリソースを活用することで、開発工数を削減しつつ、今後予想されるデジタル化対応への一歩を踏み出すことができます。

図 3. PLCnext Technology 製品ラインナップ

スマートエレメント I/O

高密度なPush-in接続千鳥配列により、上下2種類のスマートエレメント設置で15mm幅に最大32点のI/O信号の接続が可能です。I/Oシステム全体の設置幅は、市場の汎用I/Oシステムと比べて約25%削減となり、制御盤内の省スペース化を図ることができます。

図 4. スマートエレメント I/O システム ラインナップ

データ収集モジュール(EMpro)

エネルギー計測ユニット EMpro は、電力データを取得して、そのデータを上位の制御・管理システムに通知するための多数のオプションを提供します。ウェブベースのユーザーガイド設置ウィザードの利用により、エネルギー計測ユニットのコンフィグレーションと統合がわずか3ステップで完了します。従来型のロゴスキーコイルの簡単な直接接続、また多くの実践的なウェブサーバや機器の機能も活用することができます。

図 5. エネルギー計測ユニット(EMpro シリーズ)

コンパクトな耐候性の制御BOX(OCSシリーズ)

電子機器用ケースOCSシリーズは、過酷な環境における自律型機器システムに適用できます。ポリカーボネート製の認証済みケースは軽量で耐性が高く、湿気、熱、紫外線、機械的な歪みから電子機器を恒久的かつ確実に保護します。大容量プラスチック製ケースはカスタマイズやアクセサリによる拡張も可能です。また、要求の厳しいアプリケーションでも使用可能です。

図 6. 耐候性ケースOCSシリーズ

豊富な実績のフエニックス製品群

配線作業の削減、制御盤の小型化、より高い信頼性という制御盤のニーズに応えた Push-in Technology を始め、豊富なラインナップでスリム設計による省スペース化が可能なスイッチング電源、各種制御盤用アクセサリー、電源用・制御専用コネクタケーブルを各種ご用意しております。

図 7. フエニックス製品群(中継端子台、DINレール、電源、ケーブル)

データコレクションボックスの使用例

バッチおよび連続稼働設備、および組立設備での使用例を示します。

図 8. 連続稼働設備での使用例

図 9. 組立設備での使用例

まとめ

カーボンニュートラルの問題から、サステナビリティ情報の収集と開示体制を整え、報告書を作成することが求められてきています。そのようなニーズに対して、フエニックス・コンタクトからワンストップでデータコレクションボックスをご提供します。データコレクションボックスは、お客様の現場課題に合わせてフレキシブルにカスタマイズでき、必要に応じてクラウドにもスムーズに連携することができますので、ぜひご活用ください。

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